こたつを選ぼうとすると、天板のサイズ、ヒーターの種類、脚の高さと、決めることが意外に多いことに気づきます。
そして毎年、こたつが原因の火事のニュースが流れます。安いから、なんとなく選んで、なんとなく使う家電ではありません。
この記事では、こたつを選ぶときに見るべき3つのポイントと、使ってから後悔しやすい点、そして事故を防ぐために知っておくべきことを整理します。
先に結論:見るのはヒーター・サイズ・安全装置の3つ
| 確認すること | なぜ重要か |
|---|---|
| ヒーターの種類 | 暖まる速さと、電気代の傾向が変わります |
| 天板のサイズ | 使う人数と、部屋の広さで決まります |
| 安全装置 | 温度センサーと温度ヒューズの有無を確認します |
電気代は他の暖房器具と比べて安いのですが、安さだけを見て選ぶと、暖まり方や安全面で後悔することがあります。順番に見ていきます。
ヒーターの種類で、暖まる速さが変わる
こたつのヒーターには、主に3つの種類があります。
| 種類 | 暖まる速さ | 特徴 |
|---|---|---|
| 石英管 | 速い | 昔からある方式。価格が手頃なモデルに多い |
| ハロゲン | いちばん速い | 立ち上がりが早い一方、消費電力は大きめ |
| フラットカーボン | やや遅いがムラが少ない | 薄型で、天板の下の圧迫感が少ない |
すぐに暖まりたいならハロゲンか石英管、電気代を抑えたいならカーボン系という傾向があります。ただし種類だけでなくワット数によっても変わるので、購入前に商品ページの消費電力を確認してください。
サイズは、天板より先に「人数」で決める
サイズ選びで失敗しやすいのは、部屋の広さだけを見て決めてしまうことです。実際は、何人で囲むかのほうが重要です。
| 形状 | 目安サイズ | 向く人数 |
|---|---|---|
| 正方形(小) | 75×75cm前後 | 1〜2人 |
| 正方形(大) | 90×90cm以上 | 4人(4辺すべてに座る場合) |
| 長方形 | 105×75cm〜150×85cm程度 | 2〜4人 |
| 円形 | 直径100cm前後 | 4人 |
1人暮らしで、リビングのソファ横に置くなら小さめの正方形か長方形。来客時に鍋を囲んだり、家族4人で使うなら90cm以上の正方形か円形が候補になります。
布団は天板よりひとまわり大きく
掛け布団と敷き布団は、どちらも天板より100cmほど大きいサイズが目安です。天板が75cmなら、布団は175cm前後を選びます。
小さすぎる布団を選ぶと、隙間から熱が逃げて暖まりにくくなります。布団のサイズは、天板とセットで確認してください。単品で買う場合は特に注意が必要です。
電気代は、他の暖房よりはっきり安い
こたつの定格消費電力は、強運転で200〜300W程度、弱運転で100W前後が目安です。ただし温度が上がると自動でオンオフを繰り返すため、実際に使う電力はこれより小さくなります。
電気代の計算式は、暖房器具の電気代はどれが安い?で説明したものと同じです。
消費電力(kW)×使う時間(h)×電力量料金(円/kWh)
強運転(250W)を1時間、1kWhあたり31円(家電公取協の目安単価)で使うと、0.25 × 1 × 31 = 約7.8円です。多くの機種はサーモスタットで温度を保つため、設定温度に達したあとは断続的にオン・オフを繰り返します。常に定格の電力を使い続けるわけではありません。
ただし、こたつは足元しか暖めません。部屋全体を暖めるエアコンとは役割が違うので、電気代だけで比較しないほうがいいという点は、暖房器具の電気代はどれが安い?でも書いたとおりです。
この「ヒーターを使う家電は電気代が上がる」という構造は、暖房に限りません。除湿機の電気代は方式で変わる?でも、ヒーターを使うデシカント式のほうが電気を食うと書きました。逆にサーキュレーターの電気代はヒーターを使わないぶん、1日つけっぱなしでも十数円が目安になります。
こたつと電気暖房器具では、毎年事故が起きている
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
NITE(ナイト)という組織をご存じでしょうか。正式名称は独立行政法人製品評価技術基盤機構といい、経済産業省が所管する公的機関です。家電を含む製品事故の情報を全国から集め、原因を調査して注意を呼びかける役割を担っています。メーカーから独立した立場で調査するため、この記事でも一次情報として使います。
NITEが2022年11月に公表した資料によると、2017年度から2021年度の5年間で、こたつと電気ストーブによる事故は347件発生しています。このうちこたつ単独では29件、死亡事故は4件含まれています。
事故が起きる時期にも傾向があります。NITEの資料では「11月頃から事故が多く発生し、12月から1月にかけて最も多くの事故が発生している」とされています。使いはじめる時期から、すでに注意が必要だということです。
原因の半分は「特定できない」。分かっている中では可燃物の接触が目立つ
原因の内訳を見ると、意外な事実があります。こたつの事故のうち、原因を調査しても特定できなかったものが半数を占めています。
| 原因 | 割合(調査済み26件中) |
|---|---|
| 原因を特定できない | 50% |
| 製品の不具合 | 23% |
| 誤使用・不注意 | 23% |
| 経年劣化 | 4% |
「誤使用・不注意」に分類された事故のなかでは、こたつ布団などの可燃物がヒーターユニットに接触して過熱・発火するケースがいちばん多く報告されています。実際にNITEの事故事例には、こたつ布団を押し込んだため布団がヒーターユニットに接触し、焦げたという2019年の事例が記録されています。取扱説明書にも「布団をこたつの中に押し込んで使用しない」旨が記載されています。
ただし、これは「誤使用の中では」目立つ原因という位置づけです。全体で見れば、原因不明や製品の不具合も同じくらいの割合を占めています。「布団に気をつけていれば大丈夫」と思い込まないほうがいい、ということです。
こたつを使うときは、布団や座椅子がヒーターユニットに近づいていないか、ときどき確認するのが基本です。座椅子や座布団がヒーターユニットに接触して発火した事例も報告されています。
製品の不具合も、無視できない割合を占める
原因の23%を占める「製品の不具合」には、ヒーターユニットを固定する部品が熱で壊れて落下し、周囲の可燃物に接触したという事例が含まれています。この事例は、あとからリコール対象になっていました。
自分の使っているこたつがリコール対象になっていないか、シーズンの前に確認するのも、有効な対策のひとつです。NITEの「NITE AR-Shot」アプリや、消費者庁のリコール情報サイトで調べられます。
安全装置は2種類ある
いまのこたつには、多くの場合2つの安全装置が入っています。
- 温度センサー(サーミスター):内部の温度を検知して、電流を自動で調整します
- 温度ヒューズ:想定外に高温になった場合、ヒューズが切れて強制的に電源を落とします
ただし、これらの安全装置は「誤った使い方」までは防げません。布団を押し込んだ状態が続けば、装置が働く前に発火するケースがあります。安全装置があるから安心、ではなく、正しい使い方とセットで考える必要があります。
消し忘れが心配なら、機能で選ぶ
最近の機種には、次のような機能が付いているものがあります。
- 人感センサー:人がいなくなると自動で電源を切る
- タイマー機能:設定した時間で自動的にオフになる
つけっぱなしで寝てしまう心配がある人は、この2つの機能があるかどうかを購入前に確認してください。
電源コードの扱いにも注意する
見落とされがちですが、電源コードが原因の事故も報告されています。保管するときにコードをヒーターユニットに巻きつけていたため、繰り返しの負荷で断線し発火した事例があります。
シーズンの使用開始時や使用前に、電源コードに傷みがないか、コードを無理に引っ張ったり折り曲げたりしていないかを確認してください。保管するときも、コードをきつく巻きつけないようにします。
高さと脚の形も、生活に合わせて選ぶ
床に座る生活か、椅子に座る生活かで、選ぶべき高さが変わります。
| タイプ | 特徴 |
|---|---|
| 通常タイプ | 床に座って使う。高さ調整できるものが多い |
| ハイタイプ | 椅子に座って使う。立ち座りが楽で、腰や膝に負担が少ない |
| 掘りごたつ風 | 床を掘らずに、足を下ろせる構造。マンションでも設置しやすい |
親や自分の膝腰に不安がある場合は、ハイタイプか掘りごたつ風を検討する価値があります。床からの立ち座りは、思っている以上に負担がかかります。
向いている人・向かない人
向いている人
- 特定の場所で長時間過ごす。テレビの前、書斎の作業机代わりなど
- 電気代を抑えたい。部屋全体を暖めるより確実に安くなります
- 来客時に鍋を囲みたい。大きめの正方形や円形が向きます
向かない人
- 家じゅうを動き回る生活。こたつの中でしか暖かくならないので、移動のたびに寒さを感じます
- 小さな子どもやペットがいて目を離す時間が多い。布団の状態やコードの様子に気づきにくくなります
- 部屋にこたつを置くスペースの余裕がない。布団を含めると天板よりかなり大きな設置面積が必要です
よくある質問
こたつはつけっぱなしで寝ても大丈夫ですか
安全装置があるとはいえ、推奨はできません。タイマー機能や人感センサーが付いた機種を選ぶのが現実的な対策です。長時間同じ姿勢で温まり続けると、低温やけどのリスクもあります。
石英管とハロゲンとカーボン、結局どれがいいですか
すぐに暖まりたいならハロゲンか石英管、電気代とムラの少なさを重視するならカーボン系です。どのタイプでも、消費電力(W数)は商品ごとに違うので、電気代を細かく比較したい場合は個別の数値を確認してください。
こたつと電気毛布、どちらが安いですか
どちらも足元や体だけを暖める方式なので、電気代は同じくらい低い水準です。座って作業や食事をするならこたつ、寝転んだり移動しながら使うなら電気毛布が向いています。
布団はどのくらいの頻度で洗えばいいですか
汗や皮脂が付きやすいので、シーズン中でも定期的な洗濯が必要です。丸洗いできるかどうかは商品によって違うので、購入前に確認しておくと、シーズン中の手入れで困りません。
掘りごたつ風は本当に床を掘らなくていいのですか
床を掘り下げずに、脚の高いこたつの下に座面を沈められる椅子を組み合わせた製品です。賃貸住宅でも導入しやすいのが利点ですが、製品によって構造が異なるので、設置スペースの寸法は事前に確認してください。
まとめ:安さだけで選ばない
こたつを選ぶときのポイントを、もう一度整理します。
- ヒーターの種類で、暖まる速さと電気代の傾向が変わります
- サイズは人数で決める。天板より布団のサイズにも注意します
- 電気代は他の暖房よりはっきり安いですが、暖まる範囲が違うことは忘れないでください
- 安全装置と、正しい使い方はセットです。原因が特定できない事故も多く、布団の接触や電源コードの傷みなど、日々の確認が事故を防ぎます
こたつは、日本の冬の暮らしに長く根付いてきた家電です。手軽で電気代も安い一方、使い方を誤ると火災につながる家電でもあります。
毎シーズン使いはじめる前に、布団の状態とヒーターユニットの位置を確認する。その一手間が、いちばんの安全対策になります。
出典
独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE、経済産業省所管の製品事故調査機関)「冬の火災は『ゼロ距離』と『ほったらかし』に注意!~電気暖房器具は使う前に点検も!~」(2022年11月24日発表)
https://www.nite.go.jp/data/000141195.pdf
本記事の事故件数・原因の内訳・注意点は、上記資料(2017年度〜2021年度の製品事故情報)にもとづいています。個別の製品については、必ずお手元の取扱説明書をご確認ください。異臭・焦げ跡・コードの傷みに気づいた場合は、使用を中止してください。
