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加湿器のタンクを触ったら、内側がぬるっとした。水を入れ替えるときに、少し生乾きのようなにおいがする。
掃除の頻度を上げれば済む話に見えますが、同じ手入れをしていても、加湿器によってカビや菌のつきやすさは変わります。水を温めるかどうかで、中の環境が違うからです。
この記事では、方式で決まる部分と、どの機種でも毎日やることを分けて整理します。
先に結論:方式で決まる部分と、毎日やる部分がある
| 方式 | 水を加熱するか | 菌が部屋に出るか |
|---|---|---|
| スチーム式 | 沸騰させる | 出にくい |
| 気化式 | 加熱しない | 出にくい(水滴を飛ばさないため) |
| ハイブリッド式(温風気化式) | 水自体は沸騰させず、温風で蒸発を助ける | 出にくい(水滴を飛ばさないため) |
| ハイブリッド式(加熱超音波式) | 温めてからミストにする | 加熱するぶんリスクは下がる |
| 超音波式 | 加熱しない | 水に含まれるものも出やすい |
ここで大事なのは、どの方式でも、手入れが遅れればタンクの中で菌が増えることがあるという点です。方式が変えるのは「増えた菌が部屋に出るかどうか」のほうです。
つまり、方式を選んでも掃除は要ります。ただし、出方が違うぶん、同じ手入れの遅れでも結果が変わります。
なぜ加湿器の中で菌やカビが増えるのか
タンクの中は、菌にとって条件がそろっています。
- 水がある
- 暖房で室温が保たれている
- ほこりや皮脂が栄養になる
水道水には塩素が入っているので、最初のうちは菌が増えにくい状態です。ただし塩素は時間とともに抜けます。数日そのままにした水は、入れた直後の水とは別物になっています。
タンクの底や、水が当たる部分に出るぬるっとした感触は、菌が増えて膜になったものです。ピンク色に見えることもあります。この段階なら、洗えば落ちます。
方式で変わるのは「菌が部屋に出るかどうか」
超音波式は、水を細かく振動させて霧のまま空気中に飛ばす仕組みです。水を加熱しないため、タンクの水に含まれる菌や汚れも、一緒に部屋へ出やすくなります。
他の方式は、水そのものを飛ばしません。
- スチーム式:沸騰させて蒸気だけを出す
- 気化式・温風気化式:フィルターに水を含ませ、風で蒸発させる
水を加熱するかどうかは、菌の面では意味があります。大阪健康安全基盤研究所は「レジオネラは60℃では5分で死滅するので、タンク内の水が加熱されるスチーム式やハイブリッド式の加湿器は、レジオネラ汚染のリスクが低いとされています」と説明しています(2018年11月)。
ただし気化式のフィルターも、放置すればそこで菌が増えます。「加熱しないから不衛生」ではなく、「水滴を飛ばすかどうか」が分かれ目だと考えてください。
なお、同じハイブリッド式でも加熱超音波式(超音波式に加熱を組み合わせたもの)は、水を温めてからミストにして飛ばします。水が加熱されるので菌の面ではリスクが下がりますが、水に溶けているミネラルはミストと一緒に飛びます。家具に白い粉が積もるのが気になる場合は、この方式は当てはまりません。
方式ごとの違いは加湿器の方式はどれがいい?に、電気代とお手入れの手間まで含めてまとめてあります。
毎日やることは3つだけ
手間をかけるほど清潔になりますが、続かなければ意味がありません。まずはこの3つから始めてください。
- 残った水を捨てる。継ぎ足さない
- タンクをすすいで、新しい水道水を入れる
- 使わない日は、空にして乾かす
1つ目の「継ぎ足さない」が要点です。減ったぶんだけ足すと、古い水がずっと残り続けます。塩素の抜けた水に新しい水を足しても、元には戻りません。
大阪健康安全基盤研究所も「タンクの水は毎日新しい水道水に交換し、水のつぎ足しはしない」と案内しています。
3つ目も見落とされがちです。水を入れたまま何日も止めておくのが、いちばん菌が増える状態です。旅行や出張で使わないなら、必ず空にしてください。
水は水道水を使ってください。浄水器の水やミネラルウォーターは塩素が抜けているため、かえって菌が増えやすくなります。
ぬめりやにおいが出たときの落とし方
汚れの種類で、使うものが変わります。
| 症状 | 正体 | 対処 |
|---|---|---|
| ぬめり・ピンク色 | 菌が増えて膜になったもの | 中性洗剤で洗い、よくすすぐ |
| 生乾きのようなにおい | ぬめりや汚れ、フィルターに残った水分 | 洗って、しっかり乾かす |
| 白くごわごわした固まり | 水道水のミネラル(カビではない) | クエン酸で落とす |
| 黒い点 | カビ | 落ちない部品は交換を検討 |
白い固まりはカビではありません。水道水に溶けていたミネラルが、水の蒸発したあとに残ったものです。ぬめりとは対処が違うので、混同しないでください。
やり方は機種によって違います。先に取扱説明書を確認してください。塩素系漂白剤やカビ取り剤を自己判断で使うと、部品を傷めたり、成分が残ったまま加湿してしまうことがあります。
タンクの口が狭くて手が入らない場合は、水と少量の中性洗剤を入れて振り洗いし、そのあと十分にすすぐ方法があります。これも説明書で洗えると書かれている範囲で行ってください。
10円玉やアルミホイルは効くのか
タンクに10円玉を入れる方法がよく紹介されます。銅から溶け出す銅イオンには菌の繁殖を抑える働きがあるので、理屈としては間違っていません。
ただし1枚から溶け出す量はごくわずかです。タンクの水全体に行き渡らせるには足りず、これだけで手入れの代わりにはなりません。表面が黒ずんだ硬貨では、さらに効きにくくなります。
アルミホイルも同様で、タンク全体をまかなえるだけの効果は期待しにくいものです。
そしてメーカーが想定していないものを入れることになります。故障や部品の劣化につながる可能性があるので、積極的には勧められません。
水道水を毎日入れ替えるほうが、確実で手間も少ないです。水道水の塩素そのものが、菌の繁殖を抑える役割を果たしています。
毎日替えることが、なぜそこまで大事なのか
ここまで「毎日替える」と繰り返してきた理由です。
厚生労働省は2018年8月3日、レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針を一部改正し(厚生労働省告示第297号)、加湿器に関する衛生上の措置を新たに定めました。加湿器の水の管理は、国の指針でも扱われている話だということです。
裏を返せば、水を入れ替えて乾かすという当たり前のことが、そのまま対策になっているということでもあります。特別な道具は要りません。
気をつけたいのは「面倒だから2〜3日そのまま」を続けることです。塩素が抜けた水を暖かい部屋に置いたままにするのが、菌にとっていちばん条件のそろう状態になります。
体調に不安があるときや、気になる症状が続くときは、自己判断せず医師に相談してください。
カビ対策しやすい加湿器を選ぶ
手入れを続けられるかどうかは、洗う部品が何個あるかで決まります。
気化式やハイブリッド式は、タンクのほかにフィルターとトレイの手入れが加わります。フィルターは消耗品で、交換の目安が決められています。この手間を続けられるかを、選ぶ前に考えておいてください。
洗うものを減らしたいなら、スチーム式
フィルターがなく、水を沸かして蒸気を出す構造です。洗う部品が少なく、水が加熱されるぶん、衛生面では管理しやすい方式です。そのかわり電気を使います。
象印 EE-TB60(スチーム式)
フィルターがなく、上ぶたを開けて直接水を注ぐ構造。木造10畳・プレハブ17畳まで対応します。
EE-TB60のレビューに、旧型EE-TA60との違いと、スチーム式の電気代を書いています。
象印の型番の選び方に、部屋の広さとタンク容量で選ぶ手順をまとめています。
電気代も抑えたいなら、温風気化式
フィルターに水を含ませて風を当てる方式に、加温を組み合わせたものです。水滴を飛ばさないので、タンクの菌が部屋に出にくくなります。フィルターの手入れは必要です。
仕様や価格は変わることがあります。購入前に販売ページで確認してください。
よくある質問
水は本当に毎日替えないといけませんか
替えてください。水道水の塩素は時間とともに抜けます。抜けたあとの水は菌が増えやすい状態です。使い切れない量を入れているなら、入れる量を減らすのも手です。
継ぎ足しではだめですか
おすすめできません。継ぎ足すと、古い水がタンクの底に残り続けます。いったん捨ててから入れてください。
加湿しすぎると部屋がカビませんか
湿度が高すぎる状態が続くと、窓や壁に結露が出て、そこがカビの原因になります。湿度は60%を超えないようにして、ときどき換気してください。湿度計を1つ置くと判断しやすくなります。
掃除しても、すぐにぬめりが戻ります
水を替える頻度が足りていない可能性があります。掃除の強さより、毎日の入れ替えのほうが効きます。使わない日に空にして乾かすところまでやると、戻り方が変わります。
白いかたまりもカビですか
違います。水道水のミネラルで、クエン酸で落ちるものです。ぬめりとは対処が違います。
まとめ
- どの方式でも、手入れが遅れればタンクの中で菌が増える。掃除はどれを買っても必要
- 方式が変えるのは増えた菌が部屋に出るかどうか。超音波式は水ごと出る
- 毎日やるのは3つ。捨てる・入れ替える・使わない日は乾かす
- 継ぎ足さない。古い水が残り続ける
- 10円玉は理屈としては合っているが、量が足りない。水道水を替えるほうが確実
- 白い固まりはカビではなくミネラル。クエン酸の担当
- 部屋側も見る。湿度60%を超えないようにして、ときどき換気する。湿度計が1つあると判断しやすい
加湿器は、動かし続けてはじめて効くものです。手入れが重荷になって使わなくなるくらいなら、洗う部品が少ない方式を選んでおくほうが、冬のあいだ続きます。
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